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名古屋地方裁判所 昭和46年(わ)177号 判決 1973年1月12日

本籍

名古屋市中川区下之一色町字南ノ切新川堤防外法四七番地の二

住居

同市中村区西柳町一丁目一一番地

会社役員

飯田豊

昭和八年一〇月八日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官安井桂之介出馬のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役六月及び罰金五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

起訴状記載の公訴事実と同一であるから、これを引用する。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、第六回公判調書において引用する証拠目録の請求番号1ないし238記載の各証拠

一、第七回公判調書において引用する証拠目録の請求番号一ないし一七記載の各証拠

(法令の適用)

判示各所為は、所得税法二三八条一項、刑法六〇条に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑及び罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において、罰金刑につき同法四八条二項により各罰金を合算した金額の範囲内において、被告人を懲役六月及び罰金五〇〇万円に処し、換刑処分につき同法一八条を、懲役刑の執行猶予につき同法二五条一項を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 高津建蔵)

起訴状

左記被告事件につき起訴を堤起する。

昭和四六年二月一七日

名古屋地方検察庁

米田義昭

名古屋地方裁判所 殿

一、被告人

本籍 名古屋市中川区下之一色町字南ノ切新川堤防外法四七番地の二

住居 同市中村区西柳町一丁目一一番地

職業 会社役員

氏名 在宅 飯田豊

昭和八年一〇月八日生

二、公訴事実

被告人は、名古屋市中川区下之一色町字南ノ切新川堤防外法四七番地の二に居住し、同市中村区西柳町一丁目一一番地中央水産ビル内に営業所を設け、飯田商店の商号で鮮魚卸商を営んでいた者であるが、所得税を免れようと企て、同店従業者飯田三慧子および武山一三と共謀のうえ、

第一、昭和四二年分の実際の総所得金額は、少なくとも一九、二八六、八四二円であり、これに対する所得税額は八、七六八、五〇〇円であるのに、売上の一部を除外し、仮名などの定期預金、貸付信託などを設定するなどして所得の一部を秘匿したうえ、同四三年三月一五日ころ同市中川区西古渡町六丁目八番地所在中川税務署において、同署長に対し、その総所得金額が二、五一九、八五〇円で、これに対する所得税額が三二〇、六〇〇円である旨の過少の所得税確定申告書を提出し、もつて、右不正な行為により、正規所得税額と申告所得税額との差額八、四四七、九〇〇円をほ脱し、

第二、同四三年分の実際の総所得金額は、少なくとも二八、〇三七、五六三円であり、これに対する所得税額は、一三、八六八、九〇〇円であるのに、前同様の方法により所得の一部を秘匿したうえ、同四四年三月一四日ころ前記中川税務署において、同署長に対し、その総所得金額が二、三三六、九七五円で、これに対する所得税額が二八〇、〇〇〇円である旨の過少の所得税確定申告書を提出し、もつて、右不正な行為により、正規所得税額と申告税額との差額との差額一三、五八八、九〇〇円をほ脱し

たものである。

三、罪名および罰条

所得税法違反 同法第二三八条第一項、刑法第六〇条

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